女帝エカテリーナ (3) (中公文庫―コミック版)のレビュー
恋多き女性はたくましい
恋に生き、国を統治することに生涯を捧げたエカテリーナ。勉学にいそしみ、自分をより良くする恋をして自らを高めた彼女の生き方には感服する。池田さんの素晴らしい絵によって進んでいく物語は、歴史の教科書よりもはるかに分かりやすく、納得がいく。池田さんのほかのシリーズ、(春日局、ポーランド史、女王エリザベス)などもとても分かりやすくお勧め。
女帝の矛盾、ロシアの矛盾
クーデターを成功させ、ロシア帝国の女帝として君臨したエカテリーナ。
エカテリーナは休み無くロシアの統治と近代化にまい進し、エカテリーナは貪欲に欲望を愛人に託す。
当時のヨーロッパ列強は、フランスがルイ15世、オーストリアがマリア・テレジアと皇太子ヨーゼフ、プロイセンはフリードリヒ2世。新興国ながらこれらの列強と対等に渡り合い、オスマン=トルコを攻め、不凍港を得んとする。
パワフルな女性である。
ポーランドを三国分割によって地図から消し、フランス革命により少女の頃から愛していた共和主義思想を禁止し、晩年、かつて最愛であったポチョムキンを喪い、無能な青年を寵臣とする。
エカテリーナにとって、ロシア帝国は絶対君主制でなければならない。皇帝が民衆によって!帝!!位を明け渡すことはできないからである。
自分が愛する帝国は、自分が愛する孫アレキサンドルに帝位を託したいと思う。自分の息子パーベルは無能だと考えているからである。
辺境だったゆえに歴史の流れにゆるやかに身を任せていたロシアは、後にナポレオンによる侵略をうける。そして、ロシア革命が起こり、マルクス、エンゲルスが唱えた世界で最初の「共産主義」国となるのである。
しかしソビエト連邦もゴルバチョフのペレストロイカから始まる共産主義の廃棄の兆しもこの国から起こるのである。
エカテリーナは生涯を通すと矛盾多い女性だった。ロシアもまた矛盾多い歴史をもつ国である。
